2012年1月4日水曜日

虐殺器官(書評)

わずか2年という作家活動で圧倒的な存在感を残した伊藤計劃の処女作『虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)』を読んでみた。

概要はこちら↓
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9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう…彼の目的とはいったいなにか?
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評価されるだけあって世界観や設定、動機、オチは非の打ち所がないし、それらを持ち上げている文体に非凡な才能を感じる。

けど、そういったテクニック的なところは個人的にはどうでも良くて、やっぱりこの物語のテーマ(オチ?)である、

『身近な人を守るために遠い誰かを殺す』

とはどういうことなのかを考えさせられる。

人の命は平等ではないのか、愛情の大きさによって価値が変わるのか、数なのか、そもそも正義とはなんなのか・・・

う〜ん、教えてサンデル教授!!