2010年2月26日金曜日

一歩を越える勇気

7年前。アポなしの飛び込み面接→入社したことが懐かしい。

大学卒業後、「この仕事をしたい!」というものはなかったが、”人”を商品としている芸能プロダクションに興味を持った。しかし今でこそ定期採用しているところはあるが、当時は募集しているところは皆無だった。

やるなら最高のマネージャーの下で働きたかった。だからネットで「日本一のマネージャー」と検索した。すると当時の社長の名前が出てきた。当時全盛期だったモーニング娘。を作った人だ。アイドルに全く興味がなかったし、そもそも無知だったが、色々学べると思い、「よし!この人の下で働こう!」と思った。が、募集はしていない。。

履歴書を送ることを考えたが、それでは自分の情熱を伝えることはできない。電話して確認することもできたが、秘書に断られるのがオチだ。

「じゃあ、直接会いに行こう!」

今思えば迷惑な話だが、自分を知ってもらうにはそれしか方法がなかった。

そのプロダクションの住所を片手に事務所に行った。偶然にも奥の方に社長がいた。あたかもこの会社の社員であるかのように社長のデスクまで行き、開口一番「マネージャーとして雇ってもらえませんか?」と言った。周りは唖然。

社長は怪訝な顔で「キミ誰?今募集かけてないけど」と断ったが、「マネージャーの仕事に興味があります!5分だけでいいので、どんな仕事か教えて頂けませんか?」と乞うと、社長は悩んだ挙句「じゃあ、5分だけ」と了承してくれた。

自分の熱い思いや質問をぶつけ、結局2時間付き合ってくれた。そして「キミ面白いね。うちで働きなよ」と即採用してくれた。

・・・

あれから7年が経ち、今は畑違いの大手ゲームメーカーで働いている。

今、当時のことをやるか?と問われれば、答えはNOだ。体育会系の芸能プロダクションだから許されたことだし、もし大企業でやっていたら警察に通報されるだけだ。

しかし残念に思うのは、そういったことを瞬時に考えてしまうようになったことだ。自然とストッパーがかかるのだ。あれをやってはいけない。これをやったら人様に迷惑がかかる。常識が身に付いたと言えばそうだが、変に賢くなった。

・・・と、「一歩を越える勇気」を読んでふと思った。

前置きがかなり長くなったが、この本は27歳の小柄な男性が日本人初のエベレスト単独・無酸素登場を目指す物語である。

エベレストに登るには、莫大な費用と人の助けが必要である。お金もない。コネもない。経験の浅い若い登山家が、どうしてお金を集めることができたのか。彼は言う

自分の夢をたくさんの人に語ること
なぜかというと、夢や目標を口にすることによって、
まわりに伝わって共鳴する。
そうすると支援してくれる人や、その時自分が
必要とする人が必ず現れてくれるのだ 

彼の夢は「冒険の共有」だ。

エベレストの山頂からインターネット生中継を行い、
夢を達成する瞬間をたくさんの人と共有すること

そのために彼は企画、営業、制作の全てを一人で始め、大手ポータルサイトや大手広告代理店、スポンサー、テレビ局を毎日駆け回ってる。

山での冒険もすさまじいが、資金や協力集めの話しも凄い。彼は夢を語り、情熱を持って挑戦し続ける冒険家なのだと思う。

私は彼のように登山はできないが、下界の冒険家を目指したい。

無料という魔法

なぜ新聞や雑誌、音楽CD、ゲームソフトが売れないのだろうか。

単純に良質なコンテンツが無いからなのか?それとも世の中にモノが溢れすぎているからなのか?それもあるかもしれないが、もっと根本的な何かがある気がする。

私の憶測では、今の特に10代や20代の携帯電話/ネット世代の人たちは、デジタルコンテンツは無料が当たり前だと思っていることが大きな要因だと思う。

新聞や雑誌を買わなくても情報を取れる。CDを買わなくてもYouTubeなどで音楽を聴ける。(しかもPV付き)ゲーム機やソフトを買わなくてもモバゲーやGREEで遊べる。無料のわりにはそれなりにクオリティがあるし、自分が必要だと思った時にだけお金を払えばいい。納得がいく・・・無料という魅力にユーザーが惹き付けられているのだと思う。

予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」の著者ダン・アリエリーは、

値段ゼロは単なる価格ではない。 
ゼロは感情のホットボタン、つまり引き金であり、 
不合理な興奮の源なのだ。

という。

アリエリーはとある実験でチョコレート販売を行った。

スイスの高級チョコレート、リンツのトリュフを通常価格の半分の15セントで、どこにでも売っているハーシーのキスチョコを通常価格の1セントで販売する。お客はどちらを買うか?

結果は、通常よりも安いトリュフ(73%)がキスチョコ(27%)よりも多く売れた。

次に、それぞれ1セント下げてみた。トリュフは14セント。キスチョコは無料である。結果はどうか?

69%のお客が無料のキスチョコを選び、格安でリンツのトリュフを手に入れる機会を棒に振った。いったい何が起きたのか?アリエリーは次のように説明する

たいていの商取引は良い面と悪い面があるが、 
何かが無料になると私たちは悪い面を忘れ、 
無料であることに感動して、提供されているものを 
実際よりずっと価値のあるものと思ってしまう。 
なぜだろう? 
それは、人間が失うことを本質的に 恐れるからではないかと思う。 
無料の本当の魅力は、恐れと結びついている。無料のものを選べば、 
目に見えて何かを失うという心配はない(なにしろ無料だから)。
ところが無料でないものを選ぶと、まずい選択をしたかもしれない 
という危険性がどうしても残る。だから、どちらにするかと言われれば、 
無料のほうを選ぶ。

人は無料という魔法に惹き付けられる。
このような状況の中で、どのようなビジネスモデルを構築すればよいのか、そもそもなぜ無料で提供できるのか、別の機会に書きたい。

2010年2月25日木曜日

求められるアントレプレナーシップ

ネットでモノを買うのは当たり前の時代となった。
書籍はamazonで購入するし、電化製品も価格comで最安値の店から買う。若い人に至っては携帯電話で服を買う。

ついこないだまで「人はネットでモノを買わない」と言われていた。見ず知らずの人と取引するわけがないと。正直、僕もそう思っていた一人だ。

それが今や実現可能となった背景には、顧客の不安を解消するだけの様々なサービスや仕組み作りがある訳だが、根底にあるのは、それらの難題をブレイクスルーしようとするシリコンバレー特有のアントレプレナーシップにあると思う。

ウェブ時代5つの定理 (文春文庫)より

シリコンバレーの存在理由は「世界を変える」こと。
「世界を良い方向へ変える」ことだ。
そしてそれをやり遂げれば、
経済的にも信じられないほどの成功を手にできる
-スティーブ・ジョブス(Apple創業者)-

私たちは、Googleを「世界をより良い場所にするための機関」
にしたいと切望している。
-ラリー・ページ(Google創業者)-

このビジョンに共感した世界中の天才エンジニアが集まり、本気で世界をより良くしようとする。

「すごい(Great)」だけじゃ不十分だ。
いつも期待されている以上の結果を出せ。
グーグルは「(誰かと比較して)ベスト」であることを
到達点と甘んじない。それはあくまでも出発点だ。
-グーグル10ヵ条の10-

評価と言うものは相対的なものだと思っていたが、Googleでは自分の探究心との戦いであり、結果はどれだけ世界を変えたかである。

壮大なビジョン、飽くなき探究心と挑戦。そのアントレプレナーシップが従業員の隅々まで共有できている。それがシリコンバレーの強さだと思う。

シリコンバレーにできて、日本にできないのか?
そんなことはない。誰しもがGoogleを越えるポテンシャルを持っているはずだ。必要なのは、ビジョン・探究心・挑戦のアントレプレナーシップ。

その先に必ず成功がある。

最後に日本の先人の言葉を。

多くの人は皆、成功を夢見、望んでいますが、私は、
”成功は、99パーセントの失敗に与えられた1パーセントだ”と思っています。
開拓者精神によって自ら新しい世界に挑み、失敗、反省、勇気という
3つの道具を繰り返して使うことによってのみ、
最後の成功という結果に達することができると私は信じています。
-本田宗一郎(ホンダ創業者)- 


2010年2月22日月曜日

点と点をつなぐ

一発目のブログは、アップルの創業者スティーブ・ジョブスがスタンフォード大学の卒業生に贈った祝辞を紹介。

歴史に残る名スピーチ。心に沁みるわ~。



<中略> 
未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない。 
君たちにできるのは過去を振り 返って繋げることだけなんだ。 
だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで 
必ず繋がっていくと信じなくてはならない。

自分の根性、運命、人生、カルマ…何でもいい、とにかく信じること。 
点と点が自分の歩んでいく道の途上のどこかで必ずひとつに 
繋がっていく、そう信じることで君たちは確信を持って 
己の心の赴くまま生きていくことができる。

結果、人と違う道を行くことになってもそれは同じ。 
信じることで全てのことは、間違いなく変わるんです。
<中略> 

皆さんも自分がやって好きなことを見つけなきゃいけない。 
それは仕事も恋愛も根本は同じで、君たちもこれから仕事が 
人生の大きなパートを占めていくだろうけど、自分が本当に 
心の底から満足を得たいなら進む道はただ一つ、 
自分が素晴しいと信じる仕事をやる、それしかない。 

そして素晴らしい仕事をしたいと思うなら進むべき道はただ一つ、 
好きなことを仕事にすることなんですね。まだ見つかってないなら 
探し続ければいい。落ち着いてしまっちゃ駄目です。 
心の問題と一緒でそういうのは見つかるとすぐピンとくるものだし、 
素晴らしい恋愛と同じで年を重ねるごとにどんどんどんどん 
良くなっていく。だから探し続けること。落ち着いてしまっては 
いけない。



<中略> 
君たちの時間は限られている。だから自分以外の他の誰かの 
人生を生きて無駄にする暇なんかない。ドグマという罠に、 
絡め取られてはいけない。
それは他の人たちの考え方が生んだ結果とともに生きていく 
ということだからね。その他大勢の意見の雑音に自分の 
内なる声、心、直感を掻き消されないことです。

自分の内なる声、心、直感というのは、どうしたわけか君が本当に 
なりたいことが何か、もうとっくの昔に知っているんだ。 
だからそれ以外のことは全て、二の次でいい。
<中略>
Stay hungry, stay foolish.
(ハングリーであれ、馬鹿であれ) 

翻訳 市村佐登美